新世紀のビッグブラザーへ 価格: 1,365円 レビュー評価:5.0 レビュー数:21 純粋に近未来を描いたSF小説、ちょっと怖い読み物としても、面白い。ぐんぐん吸い込まれるように惹きつける筆力は新鮮だった。
昨今の情勢を見ていると、是非、こういうテーマこそ、アニメや映画、漫画化して、広く若い世代にあらゆる手段で伝えていってほしいという気持ちに駆りたてられた。
連日の極悪な「偽善・仕分けショー」、伝統文化ジェノサイド、国の元気に関わるスポーツ振興予算削減、スーパーコンピュータ開発費の締結などを見せつけられると、怒りが湧いてくる。と、同時に、それ以上に恐ろしい「偽善パフォーマンス」を徹底して演じる「良心勢力」的なコメンテータ、特に福島瑞穂が図 |
羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫) 価格: 500円 レビュー評価:4.0 レビュー数:23 村上のデビュー作「風の歌を聴け」で同じく我々読者の前にデビューしたのが、三階建ての豪邸に住むリッチな"鼠"とジェイズ・バーのオーナーである中国人の"ジェイ"である。ジェイズ・バーは、その後何度か場所を変え、今でも"街"の埋め立てられた海の近くでちゃんとやっている(はずだ)。"鼠"は村上の二作目「1973年のピンボール」で我々の前から消え、本作の最終章に近いところ「羊をめぐる冒険V」で、突然、"僕"と我々の前に現れるのだ。
"鼠"曰く、「これ以上堕ちていく自分を人前に曝したくなかったんだ・・・・・」だと。
"鼠"も"僕"も今や30歳になっている。
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1973年のピンボール (講談社文庫) 価格: 420円 レビュー評価:4.0 レビュー数:30 村上春樹の2作目は、いいきなもんである。文庫本で171ページの間に、「煙草」が61回出てくる。語り手である主人公も鼠もスペイン語の大学講師も実によく煙草を吸う。JT(ジェームズ・テイラーではない)のまわしもんか!? それから、「まるで・・・のように」という直喩が26回も使われる。うんざりだ。そして「うんざり」という言葉が6回発せられる。「それだけだ」が9回。決定的なのは、小説を書く上で35の誤謬があるが、そのうちの32が見つかるのである。たとえば、p.25に「これは『僕』の話であるとともに鼠と呼ばれる男の話でもある。」とあるが、p.28にも「これはピンボールについての小説である。」とある。作 |
もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫) 価格: 500円 レビュー評価:4.5 レビュー数:43 お酒を飲むときには蘊蓄より目の前のそれに対する
イメージを大切にしたほうが、(私は)おいしく感じる。
特にウィスキーは、裏っかわに潜む世界の「奥行き」が
他のお酒と比してもだいぶ深い気がする。
無人島を想起させる豊かな野原、大海、風、灰色の雲、透き通った水、
真っ白な蒸留所、職人の少し頑固で、額に汗を滲ませた真剣な顔つき・・
島に訪れたことのない私にはどれも空想の世界だけど、
確かにそこには様々な想像世界が広がってくる。
きっと、この本を読めば、ウィスキー |
村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫) 価格: 460円 レビュー評価:4.5 レビュー数:27 本書の共著者である村上春樹と河合隼雄、このお二人に共通するものは「魂」だと思います。「魂」とは「わけのわからないもの」(河合)のことだそうですが、「井戸を掘る」「壁抜け」など村上春樹が描き出す物語世界を支える豊穣な世界観が、お二人の魅力的な対話から浮かび上がってきます。
本書を読み終わって、難解だった村上春樹の物語世界に少し近づけたような気がします。 |
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キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション) 価格: 924円 レビュー評価: 4.0 レビュー数:228 1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物語は、彼が16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後の生活を描き出したものだが、そのスラングに満ちた語り口は今日でも鋭い切れ味をもっており、ゆえにこの小説が今なお禁書リストに名を連ねることにもつながっている。物語は次の一節で語りだされる。 ――もし君が本当に僕の話を聞きたいんだったら、おそらく君が最初に知りたいのは、僕がどこで生まれただとか、しみったれた幼年時代がどんなものだったかとか、僕が生まれる前に両親はどんな仕事をしていたかなんて |